往復動圧縮機はシリンダー内でピストンの往復動によりガスを吸入ー圧縮ー吐出し下流側へ送出します。ピストンは駆動機によりクランクシャフトを介してコンロッド/クロスヘッド/ピストンロッドの連携により往復動運動を行います。ピストンロッドはシリンダーを貫通しており、この時圧縮されたガスはこの貫通部から逃げるのでそれを防ぐためピストンロッドパッキンなるシールパッキンを設けなければなりません。
ピストンロッドパッキンの設計は圧縮された高圧ガスをいかにシールするかで重要なパーツです。ロッドパッキンはガス室側からディスタンスピースの大気側へと圧力のレベルによって使用するパッキンの種類がありますがその中で大気側に位置するベントパッキンについてお話しします。
ベントパッキンにはタンジェンシャルパッキン2環を一組としたもの(BDリング)と両サイド方向荷重を持った3環一組のリング(WATリング)があります。一番ディスタンスピース寄りに位置するのはWATリングです。次にガス室側に位置するのはBDリングでこれらリング周りの圧力はBDリングは多少差圧がある状態で、WATリング周りはほとんど差圧が無い状態で使用します。BDリングはパッキンケースとの間に温度上昇時の膨張代としてのスキマが有り、その為に前後の差圧の変化によりリングの移動があります。WATリングはパッキンケースとは両サイド共スキマはゼロです。このリングは3環で温度上昇による膨張は中1環と隣りの1環の双方に環状にて勾配をつける事で膨張時の伸びしろをこの勾配に沿って移動させる構造です。以下に使用条件を示します。

1,WATリング
 * 最もディスタンスピース寄りにセットする。
 * リング周りはほとんど差圧が無い
 * 差圧のある雰囲気で使用するとリング内径にガスが浸入しラジアル方向に繰り返し荷重が発生しリングが損傷する。

2,BDリング
 * 使用する場合はWATリングの一つ手前(ガス室側)にセットする。
 * 残留差圧が存在する。
 * 差圧の無い雰囲気で使用するとリングが浮遊しガスが漏れる。