トラブルの中で各部品の相手部品とのすきまが原因というケースは結構多いのです。
トラブル後の状態は表面はささくれだったり爛れていたりと例えばコンマ何ミリのすきまなどの確認は出来ませんし、一部でも正規の状態部分があれば比較が出来ますが、そのような場合は稀であります。原因が特定出来ない中で勢い部品の強度とか材質の問題に注視してしまいがちです。全ての機械は各部品間で一定のすきまを保持しています。設計段階でこのすきま計算は非常に重要です。 往復動圧縮機で言えば、シャフトと軸受とのすきま、クロスヘッドとガイドとのすきま、ピストンとライナーとのすきま、ピストンリングとピストンとのすきま、ライダーリングとシリンダーライナーとのすきま、ロッドパッキンとパッキンケースとのすきま、その他まだまだ色んな箇所ですきまが有り、材質が金属か樹脂かですきまのオーダーはずいぶん違います。
各すきまの基準はメーカー様ごとに独自のものを持っています。従って単純ミスは別としてしっかり設計計算しているにも関わらず、比較的この手のトラブルが多いのはユーザー様とメーカー様との仕様条件の摺り合わせが十分でないことが大きいと思われます。
コンプレッサーの運転条件は生産に直結する正規の運転以外に、点検した後の立ち上げ時の運転、停止後の起動時の運転等、圧力、温度、そして扱うガスも違う場合が多いので運転仕様の確認は全てのケースを加味しなければいけません。
特に温度の違いにより材質の膨張しろが異なり想定以上の値の発生によるトラブルが結構有ります。 金属は膨張係数が小さく、さほど影響は出ませんが樹脂材の係数は金属に対して一桁大きいのでその影響は甚大です。仕様条件の温度確認は全てのケースで行うことが重要です。
メーカー様の供給する部品は材質にしても強度にしてもメーカ様の技術のコア部分なので、そこをおろそかにすることはまず有り得ないと考えてトラブル対策を行えば解決も早いかと思われます。