高圧ガスを扱う圧縮機の各部品にかかる荷重のチェックは重要です。
水平対向型の往復動圧縮機は特にシリンダーの軸方向前に運転中長時間立たないよう気を付けなければなりません。シリンダーカバーの取り付けボルトが破断したら、人命に関わる大変な事故につながるからです。その他部品の締め付けには念入りな複数回の確認作業が施されます。ユーザー様におかれましても、メーカー様の意図しない運転条件の変更にあたっては、必ずメーカー様とのしっかりした合意に基づいて施行願いたいものです。
このように圧縮機の荷重設計は重要な設計要素なので設計ミスは絶対あってはならないのです。幸い、今までの経験でこのような荷重的設計ミスに出会ったことはありません。
荷重にはガス圧力により発生する所謂ピストンフォースと呼ばれる荷重とクランクの回転により発生する一連の慣性力があります。これらの荷重によりシリンダーとフレーム本体とを繋ぐボルトに引張荷重がかかり、圧縮機を地面に固定する基礎ボルトに動的荷重がかかります。 一方、部品同志の接触により生じる面圧という概念も荷重の一種であります。クランクと軸受との接触面圧、ライダーリングとシリンダーライナー間の面圧、ロッドパッキンとピストンロッド間の面圧、その他多くの箇所で部品同士の接触が有り、都度各メーカー様独自の適正値を持っています。