<背景>
往復動圧縮機は流れるガスを低圧から高圧に上げるための装置であり、シリンダー内ピストンの往復動作によりガスを圧縮/昇圧します。ピストンは旧来、ピストンボディ表面にホワイトメタルを鋳込み、これが相手ライナーとの間の摺動を担って来ました。
一方、ピストンの往復運動を仲介しているピストンロッドはシリンダーを突き抜けているので、その軸封の任はピストンロッドパッキンが請負います。材料は銅合金あるいは錫/鉛合金製のものが使用され、これがピストンロッドとの間で摺動しシールの役目を果たして来ました。
但し、このような金属同士の摺動は油膜切れによる焼き付き防止のためお互いの軸心度あるいは平行度等にかなり高い精度が要求されます。従って部品の修理/交換等のメンテナンス時は、金属同士の当たりのチェックが欠かせません。その作業に多大な作業量とベテラン作業員の匠の技術が要求されコスト低減のネックになっています。また高い加工精度を持った摺動部の経年変化は重大事故に繋がりかねず、そのため年に一度のオーバーホールは欠かせません。
ここで修理/交換等の作業量低減あるいは長期運転(2~4年)達成のため摺り合わせの必要性が無く、短時間に組み付け出来る高機能樹脂材が開発されメタル摺動材との置き換えが成されて来ました。
しかしながら金属メタルを使用している往復動圧縮機のこのような置き換えはごく一部であり、置き換えられていない大量の金属メタルが現在も稼働中です。
<提案>
近年圧縮機の稼働時間は社内ルールあるいは法律制度による年に一度の定期修理等を除いては2~4年にわたり長期化の傾向にあります。ただしメタル摺動材は摩耗に対する基準が厳しいため、摩耗状況の定期的確認は必要であり、長期の連続運転化のネックになっています。
また組付け時金属摺動部の当たりのチェックはカラー塗料を使用し相手当たり部の付着状態が一定の面積以上になるように手作業にて摺動面を削るのでかなりの作業時間と熟練度を要します。
ここに一度の組付け作業で完結する樹脂製リングの採用は格段に作業効率のUPに繋がります。そしてリングが樹脂のため即時的焼き付きの発生は皆無となり、樹脂リングの摩耗の進行具合によっては3~4年の連続運転が可能となります。
いまだにメタル摺動材を使用している機種につき、樹脂リングへの交換を推奨いたします。
◎往復動圧縮機の改造で生産能力向上しましょう!