ピストンリングはピストンにセットされ圧縮室のガスをシールする部品です。
今は樹脂製の物が主流ですが樹脂製リングが出る前は鋳鉄リングでした。
ライナーとリングはメタル同士なので摺動面には潤滑油が必要でしたが樹脂製に代わり潤滑油を必要としない無潤滑の圧縮機も一般的となりました。
プラントの性格上、圧縮機の流量に厳しい要求が出る場合があります。
そのためガス漏れを防ぐピストンリング、ロッドパッキンのすきまを極力狭くする処置が施されます。
ピストンリングとピストンのリング溝とのすきま、ピストンリングの周方向カット代、これをエンドギャップとも呼びますが、これらすきまを狭くする時気を付けなければならないのが樹脂製リングの膨張代です。
樹脂の膨張代は金属のそれと比較してほぼ 10 倍違います。ガスが圧縮されるとシリンダー内は温度が上昇します。それに伴い樹脂リングは膨張しすきまは狭くなります。特にリングの周方向はリングの幅に比べて長いので膨張代も大きくエンドギャップも広く取っておく必要があります。計算を誤るとエンドギャップはゼロとなりさらに膨張しようとする時リングはシリンダーライナーに張り付き始めます。そしてライナーとリング間の面圧が上がり摺動熱が許容以上に上昇する時トラブルが発生します。
樹脂リングのエンドギャップ計算は細心の注意が必要です。